2010/10/10

EDXの分解能2

どうもボクです.

EDXの分解能について,先日記事にしてみました.今日はその補足です.

EDXの分解能の決定には,いくつか要素があって,それは,検出素子内での生成電荷のばらつき,前置増幅器の雑音,電気回路の安定度などです.このなかで,生成電荷のばらつきによるエネルギー分布の広がりΔEは,以下のように提案されています.



F:ファノ因子(0.05-0.13)
ε:一対の電子・正孔対を生成するのに必要な平均エネルギー
E:入射X線のエネルギー
です.

ファノ因子は,理論的に求められているのですが,Si(Li)検出器では,Fは,だいたい0.05-0.13であります.検出素子の結晶に格子欠陥や不純物などが少なくて結晶性の良い物であれば,Fは0.05に近づきます

εは,Si(Li)検出素子が77Kであるときに3.7eVくらい(文献によって様々,だいたい3.6-3.9かな??)です.77K=液体窒素の温度でいいと思う.この値が小さいと,X線量子あたりに発生する電荷量が大きくなるので,エネルギー分解能がよくなります.ちなみに,ガス比例計数管のイオン化には約30eV,NaI(Tl)シンチレータの光電子発生には約300eVのエネルギーが必要となるので,Si(Li)半導体検出器が,他のX線検出器と比べて感度がよいのが特徴です.

それから,エネルギー分解能を決定しているもう一つの要素は,前置増幅官の雑音(ΔE0)は,漏れ電流,静電容量,冷却温度などによって決定される値で,数10eVです.

ネット上で,エネルギーとΔEのグラフをゲッツしましたが
出典がどこか忘れちゃいました><

で,普段,エネルギー分解能と呼んでいる値は,FとΔE0の値と,E=5.940(MnのKα線)を代入した値のことです.

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