2010/10/10

EDXの分解能3

どうもボクです.

EDXの分解能って,結局なんなのかって言うと,いかにしてシャープなピークを得ることができるか!って感じじゃないでしょうか.でも,多くの希土類元素を含むようなヘンテコな試料を除けば,カルシウム(Ca)より原子番号の大きいピークは,重なり合うこともないので,こういうこだわりは無視すればいいのですが,軽元素(ホウ素Bから窒素Nくらいまで)の定量分析に分解能の値が影響します.具体的には,以下のスペクトラムを見てください.
EDAX参照

このスペクトラムは,ナイロンの分析例を示す物ですが,分解能が良ければ良いほど(値が小さければ小さいほど),ピークの重なりが小さいですね.これって重要で,そのうち書くけど,定量分析を行う際のガウシアンフィッティングにモロに影響するんですよ.ピークの分離が優れていれば優れているほど,きちんとした定量分析がおこなえる(はず).

日本のEDXメーカーのHPを参照してみれば
日本電子さんでは,133-144eV以下
日立さんでは,133eV以下
EDAXさん,130-138eV以下
堀場さんでは,133-137eV以下
島津さん,不明
たまに画像をお借りしてる4piさんは,129-132eV程度のエネルギー分解能を持つ検出器が開発されております.これらの値は,分析対象物が何であるかの場合に考えなくてはなりませんけど,あんまり気にしなくてもいいんじゃないでしょうか?wエネルギー分解能が良ければ,正しい定量分析ができるって訳ではありませんからね!

PS
世の中には波長分散型のX線検出器ってのがあります.いわゆるWDXとかWDSと呼ばれているヤツです.WDXがなんで精度の良い定量分析ができるかというと,WDSの分解能はだいたい10eV前後だからです.スペクトラムのピーク分離が優れているので,EDXでは分析できないような元素の分析にも向いているようです.まぁそんな感じです.
EDAX参照

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